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スポーツ医科学・トレーニング科学

正しい知識を普及することで、ケガを減らしパフォーマンスを向上させ、より質の高いスポーツ活動が行えるよう学区内中学校の運動部の生徒さんに行った「スポーツ医科学・トレーニング科学講話」に使用したテキストを掲載します。

1.トレーニング講習をするにあたって

2.筋肉トレーニングvol.1 「筋力と持久力」

3.筋肉トレーニングvol.2 「筋肉の強化」

4.スポーツと栄養vol.1  「普段の食事」・「試合前の食事」

5.スポーツと栄養vol.2  「試合中の栄養補給」・「試合後の栄養補給」

スポーツと栄養vol.2  「試合中の栄養補給」・「試合後の栄養補給」

3.試合中の栄養補給

●栄養補給

 試合中・運動中には炭水化物などの糖質を多く摂りエネルギーを補給します。前に説明したようにおにぎりを食べるのも一つの方法ですが、おにぎりや餅では即効性に欠け、グリコーゲンに変換されるまで少し時間がかかってしまいます。ですから直接果糖などの糖分を少量ずつ摂取します。プロテニスプレーヤーがゲームの合間に、或いはホノルルマラソンなどの市民マラソンでランナーがバナナを食べているのを見たことはありませんか。バナナには水分や果糖が多く含まれていますのでプレー中の栄養補給食品としてとても優れています。ところで同じ糖分でもブドウ糖を多く摂取すると体が一時的にだるくなってしまいますので特に持久力競技では注意が必要です。エネルギーゼリーやスポーツドリンクを摂る場合、ブドウ糖を多く含んでいないかあらかじめチェックしておきましょう。

●水分補給

 以前は運動中に水を飲んだりすると叱られたりしましたが、これは大きな間違いです。運動中の水分補給はとても重要なことで、水分が不足すると脱水症状や熱中症などのとても危険な状態にならないとも限りません。30分ごとにコップ一杯位の割合で水分を補給するようにしましょう。

 スポーツドリンクについては濃度が体液と似ているために、そのままでは汗をかいて濃縮された体液を薄めることができません。いくら飲んでもおなかはダブダブになるけれども、喉の乾きはおさまらないということになります。ですからスポーツドリンクで水分を補給する場合は同じ量の水も一緒に飲むか、2倍に薄めたものを準備するなどの工夫が必要になってきます。

4.試合後の栄養補給

 試合や運動直後はブドウ糖を摂取します。これは直後というスピードがとても重要で、放っておくと筋肉や内臓を作っているタンパク質を燃焼させてしまい、体のダメージを大きくしてしまいます。早く回復させるには糖分を早く摂るというタイミングが大事なのです。

 そしてその後の食事には肉や魚などをたっぷりとって筋肉を作るタンパク質を十分に補給するようにしましょう。

 *タンパク質を多く含む食品〜肉・魚・豆腐等の大豆食品・卵など

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スポーツと栄養vol.1  「普段の食事」・「試合前の食事」

 スポーツは体を動かして行います。そしてその動かす体は毎日の食事から作られます。ここではどんな献立にすれば良いのかと言うことではなくて、スポーツ選手の栄養摂取の仕方で大切な、「何をいつ摂るか」というタイミングについて説明していきます。

1.普段の食事

 皆さんは中学生です。プロスポーツ選手のように特別な食事は必要ありません。まずはバランスの取れた食事を摂るように心がけて下さい。ただし運動をして汗をかくと、鉄分やカルシウム・ビタミンなどが汗と一緒に体外に排出されてしまいますので、これらについては特に積極的に摂取しましょう。

 鉄分が不足すると貧血を起こします。貧血というと体の弱い人に多いイメージがありますが、実は圧倒的に運動選手に多いのです。又カルシウムが不足すると骨折しやすくなるばかりか筋肉がけいれんしたりします。

 *鉄分を多く含む食品〜レバー・あさり・カキ・ひじき・ホウレン草など

 *カルシウムを多く含む食品〜牛乳・乳製品・魚介類・ホウレン草など

 

2.試合前の食事

●炭水化物ローディング

 スタミナをつけるには肉を食べればいいと思いがちですが、実はそうではなく分解されると糖分になるおにぎりをたくさん食べた方が効果的です。

 試合の3日前位からご飯や餅などの炭水化物を中心にした食事にします。炭水化物は分解されブドウ糖となり、分解は更に進み筋肉の中にエネルギー源であるグリコーゲンとして蓄えられます。他の栄養素は少し控えめにしてとにかく炭水化物を非常に多く摂ります。これを「炭水化物ローディング」といいます。又この炭水化物ローディングをより効果的にするためにクエン酸も一緒に摂ります。たとえば食事の際オレンジジュースやレモンジュースを摂ることにより炭水化物からブドウ糖、ブドウ糖からグリコーゲンと効率よく代謝が進みます。

 *炭水化物を多く含む食品〜ご飯・パン・めん類・コーンフレークなど

 *クエン酸を多く含む食品〜オレンジ・レモン、それらのジュースなど

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筋肉トレーニングvol.2 「筋肉の強化」

 トレーニングをすると筋肉は太く強くなります。この太く強くなるというのはどういうメカニズムなのでしょう。

 運動をすると筋肉には目に見えない小さな傷がつきます。この傷は休んでいる間、時間の経過とともに修復されます。この修復されるときに「こんなに傷が付くんだからもう少しおまけして筋肉を強くしよう」と体が判断して、以前よりも少しだけ筋力が付きます。 これを「超回復」といいます。つまりトレーニングをしているときに筋肉が強くなるのではなくて、休んでいるときに、しかもおまけで筋肉は強くなるのです。

 この「超回復」に大切な休まなくてはならない時間に休まずトレーニングを続けると、目に見えないミクロレベルの小さな傷が修復されずに更に傷を作り、ついには練習のし過ぎによって体は故障してしまいます。ですから毎日同じ練習同じところをきたえるトレーニングではなく、日変わりで練習の内容を変えたりきたえる部分を変えるなどのトレーニングメニューの工夫が必要になってきます。

 一般的に筋力は週1日のトレーニングで維持することができ2日で向上させることができます。また持久力は週2日で維持でき3日で向上させることができます。これを上手に組み合わせれば練習のし過ぎによる故障は防ぐことができます。

 ところでこれまで、筋力・持久力の強化について話をしてきましたが、子供も大人も同じようなトレーニング方法で良いのでしょうか。答えはNOです。子供は成長します。その成長に合わせたトレーニング法が大切になってきます。

 まず一番最初に発達するのが神経です。小学生まではいわゆる反射神経やプレーへの理解力・洞察力(次の局面を見通す力)を養うことに重点をおいた練習をすべきです。中学生くらいになると心臓や肺などの呼吸器や循環器が発達します。この時期に持久力をつけるトレーニングが重要になってきます。ただ筋肉と骨はまだ成長段階なので無理をしたり筋力トレーニング中心の練習をしたりすると成長障害を起こしてしまいます。高校生になれば今度は筋肉が発達します。この時期に筋力トレーニングを行ってパワーをつけます。

 ですから皆さん中学生に最も適した運動というのは持久力の強化ということになります。ただいつもいつも持久力のトレーニングでは精神的に不完全燃焼を起こしてしまいます。ときには全力でトレーニングをしあり余るエネルギーを発散させることも 必要でしょう。

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筋肉トレーニングvol.1 「筋力と持久力」

 皆さんは100mなどの短距離走と3kmや5kmなどの長距離走ではどちらが好きですか。どちらも嫌いですか。でも両方好きな人もいるかも知れませんね。

 さて、運動には@100m走のように短時間で目一杯の力を出す運動とAマラソンのように長時間続ける運動があります。@の運動に使われる力を筋力と言いAの運動に使われる力を持久力と言います。

 筋力を使う代表的な競技は重量挙げ・砲丸投げ・それから先ほどの100m走などで、すべてパワーやスピード、敏しょう性が必要な競技です。使われるエネルギー源は糖分が形を変えたグリコーゲンというものです。

 持久力が必要な競技の代表はマラソン・トライアスロンなどがあり、エネルギーはグリコーゲンの他に脂肪も使われます。マラソン選手に太った人がいないのはこういう理由からです。

 ところで皆さんは刺し身が好きですか。良く食べますか。あまり好きでない人もご両親が刺し身を食べるのは見ていると思いますが、刺し身には赤い刺し身と白い刺し身があります。赤身の代表はマグロです。体が大きくてあまり俊敏とは言えませんが、しかし1日に何100kmもの距離を泳ぎ続けることができます。白身の代表はヒラメです。 普段は砂の中に身をひそめ、えさとなる小魚がくると目にも留まらぬ速さで獲物を食べてしまいます。長時間の運動は苦手だけれども動くときはとてもす早く動きます。

 実はこの赤身と白身が人間にもあるのです。赤身にあたる部分を赤筋(遅筋)、白身に当たる部分を白筋(速筋)といいます。赤筋は長時間運動を続けられる持久力を担当する筋繊維で白筋はすばやい動きの筋力・瞬発力を担当する筋繊維です。

 持久力のトレーニングを行えば赤筋が強化され、筋力トレーニングを行えば白筋が強化されます。また個人個人で赤筋と白筋の割合が違っていて、白筋を多く持っている人もいれば赤筋を多く持っている人もいます。言い換えれば赤筋・白筋どちらの筋繊維を多く持っているかによって、自分に向いている競技がパワー系なのか持久力系なのかということが分かると言えます。

 具体的なトレーニング方法については内容が少し難しくなってきますので今回は説明しませんが、是非聞いてみたいという場合は顧問の先生を通じて質問があればお答えしたいと思います。

 

トレーニング講習をするにあたって

 普段部活動をしていて、「言われたことだけやる」、「言われたからやる」というような練習をしていませんか。このような練習はあまり力が付かないばかりか集中力に欠けてケガなどもおこしやすくなります。自分が今行おうとしている練習の意味や目的をはっきりさせて、また自分の体についてももう少し関心を寄せれば、自然にこれまで以上の成績を残せます。知らないでやるのと理解してやるのでは大きな違いがあります。

 部活動が将来素晴らしい思い出となるように少しお手伝いをしたいと思います。

◎ 守って欲しい事

1.皆さんは各部を代表して参加しています。毎回説明したことを理解して部のみんなに伝えましょう。それによりみんなが同じ意識をもって部活動を行えるようになります。

2.トレーニングについて顧問の先生の話と私の話が違っていることがあったり、体や栄養のことについて保健の養護の先生と私の話が違っていたりしたら、そのときはまよわず先生の指示に従って下さい。でも何故だろうと思ったら質問するのも理解を深くする良い方法です。

3.運動は体を使って行いますが、その体は毎日の食事によって作られます。いろんなものをバランス良く食べるよう心がけましょう。また体に故障がある場合は顧問の先生に伝えましょう。

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 関節包に覆われた凹と凸の関節面が、互いに滑ったり回旋したりする関節内部の動き(関節包内運動)が障害されることを「関節機能異常」といいますが、AKA療法はその関節機能異常を正常にすることで痛みを取り除きます。
 一般的にはAKA療法というとこの痛みを取る治療法を指すようですが、このほかにも拘縮(長く固定していたために関節が固くなること)の治療や、筋力に抵抗を加えて行う神経・筋再教育を目的とする治療法もあります。

 AKAの優れた点としてまずあげられるのは特に腰痛に対しての即効性です。
 多くの場合手技の途中で楽になってくるのが解ります。又手技を行なう前と後との体の動きの違いに殆どの方が驚かれます。
 優れた点のもう一つは治療がそのまま検査法になるということです。先に説明しましたが、AKAは関節機能異常を正常に戻し痛みを取る治療法です。言い換えればAKAは関節機能異常による痛みにしか効果はありません。このことは痛みが関節機能異常からくる痛みか器質的な病変からくる痛みなのか、鑑別診断ができるということになります。
 例えば腰部椎間板ヘルニアを例に取ると、純粋にヘルニアからきている痛みの場合全く効果は現れません。しかし画像診断でヘルニアが見つかってもその痛みが関節機能異常から生じている場合は痛みは全く消失してしまいます。勿論両方が混在することも多く見られます。
 当院でも行っていますが、腰痛でお悩みの方には是非一度試して頂きたい治療法です。

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